[INTERVIEW] plums 1st ミニアルバム『paranoid』−自分の世界で生きる魅力

2019年の終わり、plumsが1stミニアルバム『paranoid』をリリースした。
収録されている5曲はそれぞれの表情を見せ、肌の感触や髪の匂いまで感じさせるような繊細な歌詞と、シューゲイズでありながらどこか透き通ったサウンドで構成されている。

今回はメンバーである吉田涼花、佐藤達基、細川葵の3名に今作に込められた想いや魅力、そしてバンドのこれまでの歩みを訊いた。

自分の世界ができているって、それだけで魅力的だなって

——ミニアルバム「paranoid」リリース、おめでとうございます。

plumsメンバー:ありがとうございます。

——まず、今回のアルバムを作ることになったきっかけはありますか?

吉田涼花(Vo,Gt):plumsの会議があって、スタッフの方から「plumsは中々新曲が増えないから、新しい曲を考えるきっかけとしてレコ発を念頭に置いてアルバムを作ろう」という話が出て決まりました。でも私はズボラなので後に引けないように、収録曲1曲も決まってない段階でアルバムタイトルだけ先に発表して、そこに目掛けて曲を作り始めた感じです。

吉田 涼花(Vo,Gt)

——アルバムタイトルの『paranoid』には、どういった意味が込められているのでしょうか?

吉田:日本語で“被害妄想”という訳なんですけど、いい意味で「自分の世界で生きている」みたいな。被害妄想って、周りに危害を加えるみたいな攻撃的なイメージがあるかもしれないけど、根本は自分の中の世界が確立してるっていうのが大前提であって、いい言葉だなと思ったんです。自分の世界ができているって、それだけで魅力的だなって。

何も考えずに生きているより、自分の中で世界が確立してる方がすごくかっこいいなと思うし。で、私もそうなりたいっていう願いも込めてます。

——アルバムタイトル自体が決まったのはいつ頃ですか?

吉田:6月か7月ぐらい?『腕』という曲だけ先にできていました。

細川(Ba,Cho):そこから4曲バーって作ったってこと?頑張ったね。レコーディング始めたのって11月からだよね?

佐藤(Gt):アルバムの話を始めて「アルバムタイトル、“paranoid”ってどう?」って涼花からLINEがきたのが8月9日だね。

吉田:え! 8月? その時点で1曲しかできてなかったんだ!

細川:12月にはレコ発だったから、11月に慌てて録って、スケジュールもぎゅうぎゅうで(笑)。『栞』なんて本当にギリギリだったし、私4曲でアルバム出すのかなって思ってたんですよ。でも、レコーディング前最後のスタジオで『栞』を合わせてみたら、めっちゃいいじゃんってなって。

吉田:スタジオで1発で完成したよね。

細川:後は各々で詰めてレコーディングしましたね。『今朝』も1発で合わせてレコーディングみたいな感じでした。

佐藤:涼花が作ってきた曲が全部採用されたから、時間もかからずにいけたんじゃないかなって思います。基本的にボツ曲がないので。

佐藤 達基(Gt)

日頃の練習で100点以上出した上で、レコでどこまで出せるかだよ。

——レコーディング自体は、どのような感じで進んでいきましたか?

吉田:結構スケジュールが詰め詰めだったから、エンジニアをやってもらったひさかさん(HISAKAFUNK)と予定が合うメンバーから順々に録っていきました。本当だったら先にドラム、ベースを録って、ギターとバッキングっていう流れなんですけど、時間的にそんな余裕なくて(笑)。

細川:日程の合う人からどんどんやるぞって(笑)。だからドラム、ギター、ベースっていう順番が録ったのがほとんどで。『栞』と『腕』以外はそうでした。

佐藤:だから、あおたん(細川の通称)の後に僕のパートを録ったんですけど、そこで初めて『栞』後半のベースソロを聴いて「めちゃめちゃいいじゃん!」って思いました。

細川:スタジオでは全然練りきれていなくて。適当に弾いてたフレーズに関しては家で考えて、メンバーにも披露しないで、レコで初めてやりました。

吉田:だから、「聴きました〜!超いいです〜!」ってなった(笑)。

——ファンみたいですね(笑)。

吉田:でもレコーディングに関してはでって(佐藤の通称)がポンコツだったね(笑)。

細川:私はギターの前に録ったから、そのポンコツ具合は人伝にしか聞いてなくて。

吉田:周りが「こういう弾き方をして」とか、「ここでエフェクター踏み替えて」とか指示しても、全部我流で弾いちゃうんだよ。

佐藤:『腕』のスライドバーの部分を日野くん(さよならミオちゃん Vo.日野ヤヨイ)に録ってもらってるときに、弾いて録れたのを流して聴こうって言ってたらしいんですけど、俺はヘッドフォンつけたまんまだったからそれが聞こえてなくて「もう一回録るんだ」って勘違いしてレコと同じフレーズを弾いた結果、音止められて日野くんから「今これ聴くターンだから」って(笑)。「あ、すいません」って(笑)。

吉田:あと、でってこだわり強いからね。「いいテイク録れた」ってみんな言ってるのに、でってだけ「いや、ここちょっとなんか…。もう一回録ってもいいですか?」っていうのが10回近くありました(笑)。

佐藤:妥協するのが嫌で…(笑)。でも『栞』でベースソロやればいいじゃんってあおたんに言ったり、イントロのドラム入りのパターンをたかあき(栗山 貴聖(Dr.sprt))に勧めたのは俺だったからね!

細川:あれはめっちゃいいよね。

吉田:でっては、あおたんを見習ったほうがいいよ。この間打ち上げでめちゃめちゃいいこと言ってたよ。

細川:なんて言ったっけ?

吉田:「普段できてないことはレコでもできないから、レコで100点出そうとするんじゃなくて、日頃の練習で100点以上出した上で レコでどこまで出せるかだよ。」って。

細川:かっこいい〜!(笑)。

佐藤:超かっこいい〜!(笑)。

細川 葵(Ba,Cho)

——音作り、作曲に関してはどうですか?

佐藤:ギターの音作りというか、フレーズなんですけど、最近ギターがうるさいのが嫌になっちゃって。ファズの音圧という意味じゃなくて、フレーズの多さっていう意味でのうるささが嫌になって。だからフレーズを極力少なく、最低限にしようって思ったんです。 だから『腕』とかは、歌が入った瞬間に鳴らしてサビとか間奏までの間には2つしか音を出さなかったりとか。

多分、今作で1番ギターを弾いているのが『今朝』なんですけど、結構途切れ途切れにいろんなことをしています。次に音数が多いのが『パレード』なんですけど、ギター自体はずっと鳴らしているけど、実際にやっていることは同じフレーズの繰り返し。 あとは、エフェクターとかが好きなので「これどうやってるんですか?」みたいに訊かれたいなっていう気持ちでやってました(笑)。

——先ほども少し出たんですが、『栞』と『腕』のギターレコーディングにさよならミオちゃんの日野さんが関わったのはどういう経緯だったんでしょうか?

佐藤:今作は前作と一緒で、レコーディングをひさかさんに録ってもらってるんですけど、どうしても時間が合わない時があって。でも、アルバムの音源の締め切りは迫ってるし、やばいどうしよう!ってなった時に、日野くんが偶然レコーディングできる環境を揃えていて「ミックスとかはできないけど、レコーディングだけはできるよ」って言ってくれたので、お願いして2曲録ってもらいました。

細川:日野くんいなかったら、録れてなかったね。

佐藤:3曲入りでミニアルバムっていうことになってたね。本当に日野くん救世主でした。

吉田:やっぱり、plumsって周りの人に恵まれてるよね。

細川:それは本当に思う。周りに優しい人しかいない。すごい愛を感じる。助けられ過ぎてて「あ、人から愛されてるんだ」って実感する。

佐藤:本当によかったです。

左から、吉田 涼花(Vo,Gt)、細川 葵(Ba,Cho)、佐藤 達基(Gt)

未来への楽しみと不安でモヤモヤしているのは、『栞』を挟んでいる今ここだから

——アルバム収録曲についてそれぞれ訊いていきたいんですが、MVも公開された1曲目の『白昼夢』はどのようなイメージで作成されましたか?

吉田:経験を基に曲を書くことが多いんですけど、『白昼夢』はすごく幸せな時をイメージして作りました。人と生活して感じる幸せだったり、「自分は一人じゃないんだ」って思える優しい歌詞に、力強いサウンドを持ってきたくて。そのイメージで、曲の入りも壮大な感じにしました。

細川:スタジオで1回目合わせた時、「きたー!」ってなったね。

佐藤:たかあきのドラムがよかった。1回目に合わせた時の、イントロのドラムパターンに全部持っていかれて。俺もそれに触発されて、フレーズ弾くつもりだったけど、和音で弾くことにしました。

吉田:力強いだけじゃなくて、「2人で一緒にいるけど1人、1人でいるけど2人でいる」みたいな、リアルじゃないフィクション的な感覚も出したくて。サウンドの中でもメリハリをつけて、儚さとか、か弱さを出しながら、後半で「やっぱり相手のことが好き」みたいな盛り上がりを持ってきたイメージです。

佐藤:『白昼夢』を作ってる時に涼花に実況されたんだよね。「今すごい曲ができそうだ!」って。

吉田:そうそう、手応えすごくあったからね。

佐藤:こっちは仕事中なのに(笑)。「パンイチで書いてる」って(笑)。

plumsメンバー:(笑)。

吉田:曲作る時ってちょっとおかしくなっちゃうんですよね、ちょっとネジが抜ける(笑)。

佐藤:plumsの今までの曲は、基本的に涼花が弾き語りで歌った状態のものを送ってきて、それをメンバー各々がアレンジしてスタジオで合わせるっていう形だったんです。だけど『白昼夢』に関しては、ギターの生音と歌だけじゃなくて、エフェクターの踏み換えのタイミングや盛り上がるポイント、曲を通しての空気感とかが先に全部できた状態で送られてきたので、俺としてはすごくわかりやすかったです。

——かなり出来上がった状態で送られてきたんですね。

吉田:だから『paranoid』に一番イメージ近いかもしれないです。リード曲っていうのもありますけど。

——確かに歌詞を読んで、“想っている誰か”がいるけど、自分の中で世界が完結している、というイメージを受けました。

吉田:相手が絶体的な存在としているけど、結局は全て自分主体の目線なので、起こった事象に対して自分がどうやって感じて、何を思って、どう動いているか、というのが一番このアルバムの特化した部分だと思います。

——『白昼夢』もそうなんですが、plumsの歌詞は一人称が“僕”の曲が多い気がしますが、それは意識して書いているんでしょうか?

吉田:特にこだわりはないんですが、私「童貞っぽい」と言われることが多くて(笑)。自分の中に、どこか「男の気持ち」もあるような気はします。

佐藤:涼花の中の「少年性」が出てる感じだよね。

吉田:そうそう。スタッフの人たちにも「今回は女の子に聴いてほしい曲が揃ったね」って言われて。もちろん私もそう思うんですけど、“すけべな気持ち”とか“エロ”とか、女の目線ばかりじゃない、男の子の気持ちを自分なりに落とし込んだら“僕”という一人称になりました。

——2曲目の『パレード』はどうですか?

吉田:『パレード』は夜勤中に作りました。

佐藤:夜勤中に作ること多くない?

吉田:1つのフレーズをメモすることはあるけど、夜勤中に歌詞を全部揃えたのは『パレード』が初めてかな。夢を壊すかもしれないけど、歌詞の「心地よい波の音」って部分は、暖房の下で仮眠してるところです(笑)。「造られたもの」っていうのも暖房の温風のことで(笑)。

佐藤細川:そうなんだ!(笑)。

吉田:この曲自体は「好きな人以外のところに行ってしまったらどうなるのかな」っていうイメージで。 plumsは好きな人を想った曲が多いけど『パレード』は好きな人のことじゃない、レアな曲です。でも実は1番“性”のこと言ってて、「すべて終えて何が残るだろうか」は“事後”のこと言ってるし。全然好きじゃない人とシたら、その後には何が残るんだろうって。

——3曲目の『腕』は、どのようなイメージで制作しましたか?

吉田:『腕』は、まだ好きな人とマンネリぐらいのイメージです。好きな人が、自分よりも大事な友達だったり、趣味だったり、色々なものの方にいってしまっている時に、「もっと私のことも構ってよ」みたいな。好き過ぎて思い悩んで、「1番になりたいけどなれない」という曲です。

——“被害妄想的”ではありますね。

吉田:本当ですね! 妄想の世界が強めの曲かもしれないです。曲の最後のでってのスライドバーの部分が、腕から指先までをすらっと伝う感じが想像できてエロいですよね。

佐藤:そうなんだ。あれは涼花に「やって」って言われたやつだよね。

——4曲目の『今朝』はどうでしょうか?

吉田:好きな人と別れちゃったっていう曲ですね。しんどい時って、そのことが夢に出てきたりするじゃないですか。その夢の中と、すでに現実で起こってしまったことにかき乱されているっていうイメージを、Cメロに注ぎ込みました。

細川:あれいい曲だよね。今までにない。

佐藤:いい曲過ぎるが故に、最初「引き語りでいいんじゃない?」ってなったよね。

吉田:この曲は仕事が早番の時に作りました。すごいギリギリだったんで。

佐藤:追い詰められてたね(笑)。

吉田:あおたんのコーラスもよくて、すごく神秘的な感じになりました。苦しい時期だったけど、この曲ができたことで消化されました。曲に守られたなって思います。

——最後の『栞』はどうですか?

吉田:『栞』は再出発のイメージです。曲も今までにないくらい明るいし、『今朝』でどん底に落とされたけど、この曲で再出発してもう一回頑張ってみようかな、みたいな。

細川:明るい曲だよね。素直に明るい曲。

佐藤:この曲のタイトルつけたのたかあきなんだよね。最初はタイトルがなくて、曲名どうしようってなっている時にたかあきが 『栞』って言って。意味としては、本の栞みたいに「ここまでは読んだ、ここからは読んでない」っていう感じで、過去と未来で分けて『栞』というもので“今”を決めてるみたいな。

吉田:過去とこれから起こることで迷っていた時期の曲なんですよ。過去にはこんなことがあった、未来にはこんなことが起こりそう、でもその未来への楽しみと不安でモヤモヤしているのは、“栞”を挟んでいる今この瞬間だから−−っていう意味で、栗山は本当にいいタイトルをつけたなって思います。

佐藤:スタジオ終わってタイトルをみんなで考えてたら、たかあきが「『栞』はどう?」って言って、盛り上がったよね。

——なるほど。歌い出しの「あなたの中に並ぶそれは」も栞のことですか?

吉田:それは実は「歯」のことなんです。歯って、コーヒーとかタバコで染まっていくじゃないですか。ぱっと見ではわからないけど、いざ近くで見たときに気づける時間が尊いっていうイメージで作りました。

——こうして訊いてみると曲順が、幸せな時期やマンネリ、別れなど“恋愛の流れ”になっていますね

吉田:本当だ!すごい偶然!

細川:意図的に時系列で並べたわけじゃないのに、感覚でそうしてたんだね。

直球なのもいいんだけど、直球ができた上で変化球を投げてくるからすごいなって

——作詞について、映画や小説や実体験などインスピレーションを受けることはありますか?

吉田:95%は実体験ですね。残り5%は、映画とか漫画とか小説への憧れです。私は多分、自分じゃない誰かの曲は作れなくて、自分の思ったこととか、自分の中で作り上げた世界のことしか未だに歌えてなくて。 起こったことに対して、自分がどう思ったかが95%で、言葉遊びとか、情景をどう表現するかを残り5%の映画とか小説、漫画から引っ張ってくる感じです。浅野いにおが好きです(笑)。

細川:あ〜、私も好き(笑)。

吉田:あと、村上春樹も好きです。

細川:涼花の歌詞って、解説されるまでそんな“性”のことをテーマに書いてるなんてわからなくて、でも言われてみれば確かにって、すごく感動する。

佐藤:涼花の歌詞が、同世代のバンドの中で一番凝ってるんじゃないかってずっと思ってます。直球なのもいいんだけど、直球ができた上で変化球を投げてくるからすごいなって。

「あなたが好きです」って伝えるだけじゃなくて、涼花は色々な例えだったり表現を使って、最終的に「あなたが好きです」にたどり着くんですけど、そこまでの道をすごく上手に作るんですよ。

吉田:嬉しい! でもそれが私の願望で、聴く人に想像して欲しくて。私の体験をそのまま伝えても、受け取る側には何もその経験がないので、ただの自己満足で終わっちゃうだけ。私は本が好きなので、本を読む感覚で聴いてくれたら嬉しいです。

——作曲に関してはどのように進めることが多いですか?

吉田:その時のテンションです。コードの種類も知らないし、カポを付けたらどこがどの音になるのかも全然わからないし、チューニングもあまりできないし、弦も張れないから、本当はあんまりギター得意じゃないんです(笑)。でも、その時の感覚で弾いて「あ、今の感覚にピッタリの音だ」と思ったら、歌メロも同時に鼻歌で作っています。

佐藤:今まで涼花はギターのことを全然知らないで弾いてたんですけど、今回のアルバムの制作途中くらいから、涼花が送ってくる曲のコードの空気感が変わって。ギターコードの話になっちゃうんですけど、普通にCコードを引くんじゃなくて、違うポジションでニュアンスの違うCの音を出すっていう弾き方を自然にやってきたんです。その結果、今までの曲は基本コード4つとかだったのに、今回のアルバムから急にコード数が増えました。

細川:コードが少ないのはそれはそれでいいんだけど、もう少しコードの種類増やした曲があっても面白いんじゃないかな?って私自身もずっと思っていて。そしたら今回、涼花が自然とそういう曲を作ってきたので、すごくいいなって思いました。考えられるフレーズの幅も広がって楽しいです。

吉田:それでいうと『白昼夢』が、色々な表情あるし、コードも多いしいいよね。一番多いかなコード。『栞』も多いな。

佐藤:『栞』は覚えるのすごい大変だった…。

吉田:日野くんも、「歌入るまで、ここはこのコードであってるの?って思った」って言ってた(笑)。

細川:涼花が持ってくる曲ではあんまり見ない感じの進行だったから、すごい面白いなって思って私は好きだった。

佐藤:涼花自身が無自覚で成長してたね。それが顕著に現れたのが、今回のアルバムなんじゃないかなって思います。

吉田:正直、初期の尖っていた頃は、少ないコードでどれだけいい曲作れるかにこだわってたかもしれないです。知識がないから感覚でやるしかなくて、変なコードばかり作ってたし。でも今はそこから抜け出して、いろんな表現ができるなら、色々なことしてみようかなって思ってます。

佐藤:『腕』の弾き語り状態のデモが送られてきた時に、「なんか今回モードが違うぞ」って感じはした。

吉田:だから感覚重視でやってました。そういう意味では、今回のアルバムですごく幅が広がりましたね。

佐藤:その感覚の話で言うと、涼花とあおたんは女性だから、女性にしか弾けないのを持ってくることが多いです。すごく女性的なギター、女性的なベースを弾いているなと思います。女性ベーシストの方が僕は好きです。

——女性にしか出せない音がある、という話は聞きますね。

吉田:マインド的な姿勢だったり、熱量は男っぽいと思うんですけど、それでいて女性的な音を出せたら無敵だなって思います(笑)。

佐藤:熱量はあるんだけど、おしとやかな部分があるなって思います。

——確かにライブを見ていても、男性陣は激しい演奏をしているのに対して、吉田さんは揺れながら歌って、細川さんは淡々と弾いているイメージがあります。

細川:私は加入前から、ずっとそういうスタイルでやってきていました。

吉田:それがplumsにハマったよね。 

——メンバーが現体制になるまではどういった流れがあったんでしょうか?

佐藤:2013年頃に、涼花、たかくん(現CHOKE編集長)、たかあきの3人が高校の軽音部で結成したのが始まりです。

吉田:2人にバンドやろうってナンパされました(笑)。

佐藤:でも結局、自分が一番最後まで残ってるじゃん(笑)。

plumsメンバー:(笑)。

佐藤:で、俺は学年が1コ上だから同級生と他のバンドを組んでいて。3人がやってるのを小樽のライブハウスとかで観ていました。高校卒業のタイミングで、俺がやってたバンドが活動停止して、でも「バンドやりたいな」ってなんとなく思ってる時に、涼花と出かけたんだよね。

吉田:ドライブしてた。

佐藤:で、帰りに涼花を家に送ってる時に、なんの気なしに「plums入れてよ」って冗談で言ったら「入ってよ!」って。

吉田:丁度、ギター1本でシューゲサウンドをやることに限界感じてて、「もう1人リードギター入れたい」と思っていたときに「入れてよ」って言われたので「お前しかいねえじゃん!」って(笑)。

佐藤:でも涼花が他の2人に訊いてみたら、2人とも否定的だったんだよね(笑)。

吉田:たかくんも栗山も、「え〜、でって〜?」って(笑)。

佐藤:で、「とりあえず今あるplumsの曲に、全部ギターつけてみてよ」って言われて、2017年の1月ぐらいに4人で初めてスタジオ入ったんです。で、合わせてみたら「おぉ!すごい!」って言ってくれて。

吉田:『怒り』と『夜』をやったんですけど、「完成度が全然違う!」って思いました。

佐藤:そしたら、その日の夜に俺が参加するの発表しちゃおうって話になって。でも俺は、最初サポートメンバーとして実験的に入るつもりだったんですけど、寝てる間にTwitterで「正式メンバーとして加入しました」って発表されてました(笑)。

細川:許可取ってなかったの?(笑)。

吉田:勝手に加入させちゃった(笑)。

佐藤:スタジオ出て、別れる前に「加入なの?サポートなの?」みたいな話してて、結局サポートとして参加することに決まったのに、気がついたら正式加入になってました(笑)。初めて4人で合わせた日に、即加入しました。

吉田:でってが入ったことで、評判もすごくよくなりました。

佐藤:そこからしばらく、男3人女1人っていう状態で活動していたんですけど、ある日スタジオ帰りにみんな山岡家に行ったら、そこで急にたかくんが「俺バンド辞めようと思うんだよね」って。

吉田:そしたら栗山も「たかひろが辞めるなら、俺も辞める」って言い出して。

佐藤:俺らもその時は、何も考えないで「あぁ、そっか」って他人事みたいに思っちゃって。

吉田:私も「2人が抜けるなら解散だね」って。

佐藤:でも、その話の2日後ぐらいに涼花から「冷静に考えたんだけど、CD出したばっかりなのに、解散するの…?」って言われて、「じゃあ続けよう」ってなりました。

吉田:12月に「浮遊する愛」のレコ発したばっかりで、3月に2人の脱退ライブだったよね。

佐藤:それで最初は、現eauのドラムの板宮と、ヲタルネコのギターボーカルのあゆみさんが「ベースやるよ」って言ってくれて、2人にサポートしてもらう体制で活動してました。で、あおたんとの出会いは、“よいこのよふかし”というバンドと対バンすることになって、そこでベースを弾いてたのがあおたんでした。そしたら女性陣同士がめっちゃ仲良くなっちゃって。

吉田細川:マブになっちゃったね〜(笑)。

佐藤:しばらくして涼花に「あおたんにサポートベースやってもらえないかな」って言われたんです。俺自身もなんとなくそれを思ってて。でその頃に、涼花が大失恋して、涼花とあおたんが2人で呑みに行たんです。そこで涼花から「サポートやって」って頼んだ形です。

細川:いきなり涼花からLINEきて「呑まない?」みたいな(笑)。

吉田:「わい、フラれたんや」って(笑)。

細川:私も丁度その頃、めちゃめちゃ恋愛で辛かった時期で、ズタボロだったから「呑む!呑むよ!」って。23時過ぎてたけど。

吉田:二人で自転車漕いでね(笑)。

——青春ですね(笑)。

細川:で、サポートすることになりました(笑)。

佐藤:で、色々やってたんだけど、板宮がeauの活動が忙しくなってきて、サポート抜けて。ドラムどうしようかってなっていた時に、あおたんがサークルの後輩のごまちゃんっていう女の子を連れてきて、しばらくドラムを叩いてもらっていました。でもまたしばらくして、ごまちゃんが色々あって脱退しちゃって。

吉田:そこで「もう栗山しかいない!」って思ってたら、街中で栗山に偶然会ったんです。で、私が「plums入ってよ」って言ったら、軽い感じで「いいよ〜」って言ってくれて。

佐藤:たかあき的には元々plums好きでやってたし、脱退してからも好きでいてくれたんです。だから「ドラムがいないっていう理由で活動が止まるんだったら、俺が入る」って言ってくれて。

だから、たかあきは今も「別のドラム見つかったら俺すぐ抜けるからね」ってずっと言ってるんだけど、俺らが頑なに「たかあきが良いよ〜」って言っています。

吉田:栗山は「え〜?俺で良いの〜?」って、満更でもない感じです(笑)。

佐藤:茶番をずっと繰り広げてます(笑)。だから本当はメンバー的にも、スタッフの人たち的にも、正式に加入してくれた方が色々楽になるし、やりやすくなるんだけど、たかあきの仕事の関係もあって「仮に加入したとしても、満足に行くように動けるか分からないから」っていう理由で現状サポートのまま。だからもしかしたらこの先、正式加入もあり得るし、違う人になるかも分からないです。

私たちは自ら「シューゲバンドです」って言ったことはなくて

——東京でのライブも増えてきていますが、札幌と東京の印象の違いなどはありますか?

吉田:全然違うよね。

細川:客層が違う。

佐藤:札幌はメンバーと友達だったり、仲がいいから見にきてくれる人も多いんですけど、東京は俺らのバンドの音楽が好きだからきてくれてるっていう感じがします。

吉田:それは大きいかもね。plumsのやってるジャンルの音楽が札幌に数少なくて、同じジャンルのバンドを集めて企画を組むのが難しい環境っていうのもあるし。

細川:人口が多い分、シューゲサウンドとかドリームポップとか好きな人が東京の方が多いから、よりそういうジャンルが好きなお客さんが見にきてくれて、結果plumsを好きになってくれる人が多い印象です。札幌でも好いてくれる人いるけど、印象としては東京の方がシューゲイズ好きな人が多い気がします。

——札幌はシューゲサウンドが意外と少ないですね

細川:いるけど、あんまりワーって盛り上がってないというか。

吉田:でも実はplumsのメンバーは、今まであんまりシューゲイズ聴いてきてないんです。

佐藤:偶然、やってるジャンルが最終的にシューゲイズに近いものになっただけで、メンバー全員どちらかというとシューゲイズじゃない音楽を通ってきてます。

細川:私はplums入ってからシューゲイズを聴き始めましたね。

——みなさん、普段はどんなジャンルの曲を聴いていますか?

吉田:私はミツメとかTaiko Super Kicks、カネコアヤノ、シャムキャッツとか、結構ゆったりしてるのも好きだし、銀杏BOYZとかThe SALOVERSとか聴きながら、お酒飲んでダメになりたいっていう日もあるし。今は、はっぴいえんど聴いてます。

細川:私はポップス、ジャズとかおしゃれな音楽が好きで、アーティストだと相対性理論とか土岐麻子、KIRINJIが好きです。今までに組んだバンドも、そういう系統が多いです。

私は音の隙間が結構あるような、どちらかというと音が小さいバンドが好きだから、自分がこんなに音の大きいバンドをやると思ってなくて。でもplumsはサウンドはシューゲイズだけど、涼花の歌メロにポップさとかキャッチーさがあるから、最初対バンしたときにplums好きだなって思って。だからサポートやってってお願いされた時も「喜んで!」って感じでしたね。

佐藤:俺は、最近はヒップホップばっかり聴いてます。バンドでずっと好きなのはBase Ball Bear、ペトロールズとか。この2組はギターを最低限しか弾いてなくて、曲の合間でフレーズ的に弾くとか、最低限なんだけどそれで十分っていうバンドが好きです。音源だけで言ったら、OGRE YOU ASSHOLEとかも好きで、CDで聞いたらすごい音がスカスカなんだけど、すごく惹かれるものがあるっていう空気感とかが好きです。

——なるほど。

佐藤:あとは、言葉遊びをしている人が好きですね。 マイアミパーティーの『愛されたいのさ!』って曲で、歌い出しから数行にかけて歌詞の中で朝の情報番組の名前を所々に入れていたり、歌詞カードを見ないと気づかないような言葉遊びが好きです。その流れで今ラップも聴き始めました。 Base Ball Bearの小出さんも、そういう仕掛けを作るから面白いなあって思って、ずっと追いかけてます。

——皆さんバラバラですね。

細川:なんで元々plumsってシューゲイズやってるの?

吉田:バンドを始めた時に、きのこ帝国がめちゃくちゃ好きだったから。それだけ(笑)。チャットモンチーとか相対性理論とかのコピーもやったけど、きのこ帝国の曲をやってる時が、一番自分の感情が乗せやすかったっていうのが体感的にあって、曲作りにきのこ帝国が繋がっていくのは必然だったかもしれないです。

——以前ネット上で「plumsは“似非シューゲイザー”だ」って書かれていたことがありましたね。

吉田:それ見た!でも実は、私たちは自ら「シューゲバンドです」って言ったことはなくて。逆にシューゲバンドだと思ってもらえたなら、ある意味では正解だと思います。

細川:私たちの狙うところじゃない?シューゲをやろうとしているわけじゃないけど、シューゲっぽく聴こえてるっていう点では、褒め言葉だと思います。

「paranoid」で広がったから、なんでもできるよね。無限な感じがすごく心地良い。

——メンバー自身“plums”というバンドを、どのようなバンドだと思っていますか。

吉田:幼少期に、頭で悶々と考えていたことを表現する場がなくて、思ってることが周りに伝わらないのがもどかしくて、「私の考えてることっておかしなことなんだ」って自信がなくなっていた時期があったんです。それを母親に相談したら「涼花は考えが大人だから、他の子と合わないのかもね」って言われたりもして。でも、私は作詞する立場として、ようやくそれを表現できる場が“plums”だと思ってます。

今までは考えてることが沢山あったし、起こった1つのことに対して色々な思いを感じて考えてきたりしてたけど、それが周りに伝わる環境にいなかったから、それがようやく自分の言葉で自分のやりたい音とか表現の仕方、方法で発信とか解放できるし、それを受け入れてくれる人がこんなに身近にいることがすごく嬉しく思います。

——最後に、今後どのようなバンド展開を見せていきたいですか?

佐藤:レコード出したい! あと、今回のアルバムを出して、隠してる曲が0になったんですよ。だから、これから先どんな曲が出来上がるのかが、一番楽しみです。1曲目の『白昼夢』しか、今までのplumsの形を辿った曲がないから、今後どうなるのかなって。

吉田:そうだね。それはちょっと、私もドキドキする。

佐藤:もしかしたら、めちゃめちゃシンセ入ってるかもしれないし、打ち込み使うかもしれないし、ピンボーカルでやるかもしれない。全曲ファズ踏んでるかもしれないし。

吉田:『paranoid』で広がったから、なんでもできるよね。無限な感じがすごく心地良い。

佐藤:涼花が書いてる曲は、絶対にいい曲だろうなっていうのもあるから、手放しで「どうぞやってください」って感じです。ただ、その次の1曲ができるのが、もしかしたら半年後かもしれないですね(笑)。今まで半年に1曲とかだったので。

吉田:いや本当に、こんな短期間で曲作ったことない!(笑)。

細川:結果、いい曲が沢山できたね。

吉田:plums的にも私的にも、今回のアルバムで自由になって救われたなって思います。

plums 1st mini Album『paranoid』
2019/12/21 RELEASE
¥1,200 (tax in)

01. 白昼夢
02. パレード
03. 腕
04. 今朝
05. 栞

▼各種サブスクリプション配信ページ
https://linkco.re/ss4dVbR4

インタビュー:kthr_kswy / 撮影:森野ひにち

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